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マイケル・ルイス『フラッシュ・ボーイズ』 10億分の1秒の男たち、文藝春秋(2014) [社会科学]

文学作品ではなくて、経済(投資)モノの話が続きます。先日紹介した、『世紀の空売り』に続く、米国ウォール街でくり広げられる投資合戦の物語です。

『世紀の空売り』がサブプライム・モーゲージ債という超有名な話をテーマにしているのに対し、こちらはトレーディングの取引を巡るシステム上の闘いなのでいまひとつ地味(?)に感じました。影響という意味では非常に大きいのですが。

トレーディングのやりとりというのは、当たり前ですが今は電子化されていてシステム同士が高速でやりとりして取引が成立します。この、投資家の動向を10億分の1秒早く把握するだけで大儲けができる(逆に言えば投資家が搾取される)仕組みを詳細に解説したノンフィクションなのですが、どうもいまひとつぴんときませんでした。説明が不親切だったりわかりにくいというわけではなくて(むしろかなり丁寧に解説されている)、自分自身がこの業界のことをよく知らないからかもしれません。しばらく経って読み返せばもう少しわかるようになると思っています。

確定拠出年金やNISAなど、私も今から準備を進めていますので他人事ではいられません。こういうのってまずは具体的なハウツー本を見るのが最初でこの本のような業界全体の大きな話は一番最後か(自分の投資のために限れば)読む必要はなかったりします。ですから純粋に面白そうと思える人に対してだけ、お勧めします。 

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

  • 作者: マイケル ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: 単行本



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マイケル・ルイス『世紀の空売り』-世界経済の破綻に賭けた男たち、文春文庫(2013) [社会科学]

2007年に起きたリーマンショック(世界同時の株価暴落)にまつわる実話で、リーマンショックで儲けを出した男たちの物語です。切り口がちょっと変わっているのと、以前に読んだこの著者の本が面白かったので購入しました。また本の解説を書いているのが、話のわかりやすさでは定評がある(と私は思う)藤沢数希さんでしたので、きっと面白いに違いないと踏んだのです。

サブプライム・モーゲージ債のしくみとその崩壊については今までにたくさん解説されていますし、私も当時NHKの特集番組を見た記憶があります。金融工学を駆使(?)したあぶなっかしい金融商品だと解説されていたように思いますが、その仕組みを利用して大もうけした人たちがいたという話は、ほとんど取り上げられなかったように思います。本書の主題はまさにこの部分で、慧眼(目利き)を持つ人たちの話でもあります。原文の「マネー・ショート」という題名そのもので映画化されています(まだ観ていませんが)

サブプライム・モーゲージ債が崩壊すると予想するのは、もしかしたらさほど難しくなかったのかもしれません。ウォール街の熱狂から少し距離を置いて冷静になることができれば。でもサブプライム・モーゲージ債の崩壊を儲けにつなげる道筋を付けたのは、本当にすごい。株を買って株価が上がれば儲かるといった単純なしくみではなく、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という一種の保険のような金融工学商品を使うのですが、サブプライム・モーゲージ債を対象としたCDSというのは存在しなかった。証券会社を説得して商品を作り出したというのもすごい。

サブプライム・モーゲージ債が崩壊したときに儲ける方法を考案し、そのしくみを現実化させたのはマイケル・バーリという株式投資家かつ医師です。私はこの人物に強く心を惹かれました。この一風変わった、アスペルガー症候群を患った人物たった1人の慧眼に、ウォール街の関係者全員が及ばなかったというのは実に驚くべき状況です。非常に痛快な話です。もっともバーリ氏はファンドを立ち上げ投資には成功しますが、人付き合いに難があったせいかあまり報われなかったようですが。

人に認められたい、好かれたいという方には全く興味が無いと思いますが、物事の基礎事実の把握、物事の根幹の理解や独創について興味がある人には面白いと思います。このような資質が対人関係とバーターになっているということも併せてですが。




世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

  • 作者: マイケル・ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫



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デイヴィッド・T・コートライ『ドラッグは世界をいかに変えたか-依存性物質の社会史』、春秋社(2003) [社会科学]

嗜好性のある物質、サイコアクティブ化合物と人間社会(文化)の関わりの歴史について概観した本です。サイコアクティブ化合物というと、たいていの人は麻薬、タバコ、酒が思い浮かぶと思いますが、著者によると砂糖、カフェイン(お茶、コーヒー)も含まれるとのこと。カフェインはわかりますが、”砂糖”が入っているのは面白いですね。

”ドラッグ”というと、生きていく上で必需品ではないが、いったんはまると習癖性が強く抜け出すのが困難で、身体には悪い、という先入観がありましたが、生きていく上での必需品であればそれを身体が強く求めるというのも確かなので、サイコアクティブ性があってもおかしくありませんね。単に言葉の問題で、”嗜好性”をどのように定義するかでしょうか。

このような、文明を問わずに強い嗜好性があるものというのは、時代や国を問わずに為政者にとって格好のツールになったり、密輸やヤミ流通のアイテムになったりするわけです。需用に比して供給が少ないと、かさばらなくて高額な品物がこっそり扱われるというのはアイテムを問わず普遍的な事実ですね。ここから、法律で禁止されているか、その利用が厳しく制限されている品物が、権力や戦争といかに強く結びつき得るかというのを、この本は様々な歴史的事実から説明しようと試みています。

もし仮に身体に安全で安価なドラッグが登場すれば(可能性としてはあり得ます)、我々の文化はがらりと変わってしまうのかもしれません。伊藤計劃(いとうけいかく)の『ハーモニー』に描かれたように、争いや憎しみが消えると同時に愛情や創造も消えるといった世界が出現するのか、それとも人類ver2のようまったく新しい世界が開けるのか。。そのような物質が創成できたとしたら、まずはサルあたりで試して社会がどのように変化するかを調べなければなりません。

日本呼吸器学会が入会の条件として禁煙を必須としたという噂を聞いたので、学会のホームページに行ってみましたがそのような記載はありませんでした。ずいぶん前には学会会場に喫煙コーナーがありましたが、今はあるんでしょうかね。


ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史

ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史

  • 作者: デイヴィッド・T. コートライト
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 単行本




ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/08/08
  • メディア: 文庫



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ケン・オーレッタ/土方訳『グーグル秘録』、文春文庫(2013) [社会科学]

600ページ超の文庫本である。グーグル幹部をはじめ、フェイスブックやマイクロソフトの要人にもインタビューしてまとめた詳細なレポート。生データ(要人が話したこと)が豊富に引用され、臨場感は抜群。

Googleの歴史とは、この会社未だ終わってはいないが、技術好きのオタクが自分たちの発明にとことんこだわり、大成功したという話。莫大な収入に結びついたのはその通りだが、それは本質ではない。本質の部分は、極めて優れた技術(この場合は検索技術)はの使い道は後から発見されたという点である。Googleは、自分たちのビジネスは”広告業”であると意識したという下りがそれだ。こういうのがコンピュータサイエンスだけでなく、普遍的に普及させられるようなビジネスモデルはないものか?


グーグル秘録 (文春文庫)

グーグル秘録 (文春文庫)

  • 作者: ケン オーレッタ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/09/03
  • メディア: ペーパーバック



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谷本真由美著『キャリアポルノは人生の無駄だ』、朝日新書(2013) [社会科学]

☆☆☆★★

「キャリアポルノ」とは「自己啓発本」のことだそうです。以前に読んだ、佐藤留美『なぜ、勉強しても出世できないのか?』、ソフトバンク新書と同系列の本ですが、こちらの本の方は”労働とは何か”といった問いにこだわった内容になっています。谷本女史が国連の機関で働いていたときに接した、様々な外国人とのやりとり、特にイタリア人とのやりとりが面白く描かれています。イタリア人って楽しそうでいいですね(笑)

成功するためのノウハウや、自己啓発本のからくりやウソ、有名人をコピることの危険性については、佐藤氏の指摘と似ていますね。現状を冷徹に見ているという点ではどちらも共通しており、自己啓発本を読むのが好きな人には読んで損はなさそうな内容です。


キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書)

キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書)

  • 作者: 谷本真由美(@May_Roma)
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/06/13
  • メディア: 新書



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佐谷恭、中谷健一、藤木穣著『つながりの仕事術』、洋泉社新書(2012) [社会科学]

☆☆★★★

コワーキングスペースという、セミクローズドな空間で仕事するスタイルを紹介した入門書のようです。概念の説明から実践まで、注意点も含めて一通り網羅されています。

独立して仕事をしている人やフリーランスならば確かによいかもしれないです。一方で、組織に所属してフルタイムで働いている人には難しいのでは、というのが正直な感想でした。そもそもどうしても片付けなければならない仕事を抱え、自宅でそれをやるのが難しいから場を求めているわけで、予備校の「自習室」や図書館の閲覧室のような場所があればそれで事足りるのでは、と思いました。

私は、勉強会やセミナー参加には興味が無いので、スタバやルノアールで十分と思ってしまいましたが、つながりを求める方には意味があるのかもしれません。その辺はご自身で読んでご判断ください。



つながりの仕事術~「コワーキング」を始めよう (洋泉社新書y)

つながりの仕事術~「コワーキング」を始めよう (洋泉社新書y)

  • 作者: 佐谷 恭
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2012/05/10
  • メディア: 新書



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野口悠紀雄『製造業が日本を滅ぼす』、ダイヤモンド社(2012) [社会科学]

☆☆★★★

野口先生の本は、ハウツーものを中心に今までいくつか読んでいます。ハウツーについては役に立つ技術やサイトを知ることができて有益でした。

円高、脱製造業が日本に富をもたらすというか、今後世界との競争の中で生き残る道である、との主張です。工業製品は技術レベルがさほど高くない(がしかし人件費がとても安い)国でもそこそこ満足する品質のものを作れるので、日本がウリにしてきた”匠の技”的な高度な技術(と高い人件費)は今後不利になる、というメッセージです。その背景には製品を構成する部品の標準化が進んだためだとのこと。円高については、燃料費や原料の高騰はそのまま企業や家計を直撃し、結果として労働者の収入が増えない、と笑えない話です。確かにガソリンの価格はずっと高価格が続いており、だからクルマを使うのを止めようという判断はなかなかできないわけでして、実感として困ったものだという意識は確かにあります。また、震災後の電力供給問題について言及があり、日本から製造業が減れば必要とされる電力量も減るので、脱原発も可能だとのこと。この考え方は新鮮でした。

様々なデータを挙げながら論を展開していくのですが、きちんと理解しようとするとそれなりの基礎知識が必要です。基礎知識が無いためよくわからない部分もあり、自分としての全体評価は高くなかったですが、わかる人が読めばもっと評価が高いのでは、と思います。




製造業が日本を滅ぼす

製造業が日本を滅ぼす

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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岩瀬大輔、『金融資本主義を超えて』-僕のハーバードMBA留学記 [社会科学]


金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)

金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)

  • 作者: 岩瀬 大輔
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/05/08
  • メディア: 文庫



岩瀬大輔、『金融資本主義を超えて』-僕のハーバードMBA留学記、文春文庫(2009),\629
ISBN978-4-16-775380-1 C0195
☆☆☆☆★

ライフネット生命創立者の一人、岩瀬氏の2年間に及ぶハーバードビジネススクールでの生活を描いたエッセイ。刺激的な講義、個性溢れる魅力的な仲間との交流、そして日本と日本人について考えたことが活き活きと描かれていて、著者の興奮が伝わってくる。

第1章 君は信念を持っているか
第2章 海軍に入るより海賊たれ
第3章 お前はジャパニーズだ
第4章 大聖堂を建てる仕事
第5章 ファンドバブル崩壊前夜
第6章 計画された偶然性
終わりに 自己改革の2年間

HBS(ハーバードビジネススクール)のカリキュラムや講義の風景は本書をお読み頂ければ充分に味わうことができるので、省略する。私が面白いと感じたのは下記のポイントであった。

・HBSの学生の1割強は非営利団体の出身であり、卒業生の8割がなんらかの形で非営利団体の運営に関わる(米国では非営利団体の活動が活発である、という事情もあるようだが)。非営利団体の活動にもビジネスで培われた経営ノウハウを投入すべきと考えられており、盛んに研究、実践されている。ここら辺はちょっと感覚的によくわからないところであったが、非営利団体=趣味の会、ではないのだからそれなりにきちんとした運営をするとすると、営利団体の手法を学ぶのは悪くないのかもしれない。

・ヘルスケア事業に営利主義を導入することの是非。著者は営利主義のメリットを分析し、提示する。この問題は米国はもちろん日本でも盛んに議論されており、日本では今のところ反対論が優勢である。がしかしコスト削減や組織のマネジメントの面では営利主義の手法を導入するのは必ずしも悪いことではないと思うのだ。

・ヘッジファンドやプライベートイクイティファンドの様子が詳しく解説されている。これらはどことなく胡散臭いイメージがあって、クリック1つで多額のマネーを動かしてボロ儲けしている(あるいは大損して社会に迷惑をかけている)ように思われている方が多いかもしれなが、実際には地道な分析作業を行って判断を行っている至極まっとうな商売である。自分の目で確かめるまでは世間の噂を信じないこと。

今世界の資本主義は欧米、それも米国が構築してシステムが優勢だ。今後どうなるかはともかく、米国の資本主義がどのような思想の下に構築され、どこへ向かっているのかを知っておくのは悪くない。MBA取得やHBS留学を考えていなくても、読み物としても面白いのでお勧め
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クリステンセン著/玉田ら訳『増補改訂版・イノベーションのジレンマ』、翔泳社(2001), \2000 [社会科学]

クリステンセン著/玉田ら訳『増補改訂版・イノベーションのジレンマ』、翔泳社(2001), \2000
ISBN4-7981-0023-4 C0063
☆☆☆☆★

「技術革新が巨大企業を亡ぼすとき」という副題付き。ビジネススクールや経営学では定番の教科書とのことだったが、読んでみると非常に面白い。たぶん色々なところでこのネタは使われると思うので、ホワイトカラーの人は読んでおいて損はないだろう。

企業努力→商売の成功→新製品の開発→さらなる商売の成功の流れを正のスパイラルという(右肩上がりとも言う)優秀な人材を抱え、顧客の意見を良く聞いて製品(サービス)にも反映させ、経営陣は優秀とくれば、怖い物なしに見えるだろうが、いや実はそのなかに失敗の原因が隠されている、というのが本書の主なメッセージだ。著者はそれを様々なデータで裏付け、その原因を突き止めていっている。いくつかの実例が挙げられているが、最もデータが充実していて丁寧に分析されているのが、ハードディスク業界である。PCが好きな人にとってはわかりやすいかもしれない。

いったんこうと方向性が定まってしまうと、優秀な組織ほど柔軟な変更が難しくなって環境の激変に対応できないという話でもある。それが、ビジネスに寿命がある主原因であろうか。ずっと勝ち組でいられるという話は、残念ながら無い。

ひとつの企業の中で、2つのコスト構造、収益モデルを平穏に共存させるのは極めて難しい、という指摘がある。これはさしずめ、製薬企業であれば先発薬と後発医薬品のビジネス、あるいはOTC、大衆医薬品のビジネスが該当するかもしれない。もちろん、いったん売りが立ってしまえば先発医薬品の方が収益率が良い。日本の製薬企業が大衆薬ビジネスを手放したり、後発薬ビジネスを別の事業本部にしているのは、クリステンセンの考え方に則っているのだろう。

以上


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

  • 作者: クレイトン・クリステンセン
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本



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佐々木融『弱い日本の強い円』、日経プレミアシリーズ(2011) [社会科学]


弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 佐々木 融
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2011/10/12
  • メディア: 新書


佐々木融『弱い日本の強い円』、日経プレミアシリーズ(2011)
日本経済新聞社
ISBN978-4-532-26138-2 C1233
850円
☆☆☆☆★

第1章 円高と円安-その本質を理解する
第2章 為替の市場はどんなところか
第3章 国力が為替相場を決めるわけではない
第4章 円に買われる理由などいらない
第5章 強い雇用統計で売られるドル
第6章 米ドルは最弱通貨
第7章 米金利が低下すると円高になる
第8章 介入で「円安誘導」などできない
第9章 「対米ドル」相場一辺倒の時代は終わった

最近、円高、ドル安、ユーロ安という言葉をニュースや新聞でよく耳にします。会社(特に製造業)にお勤めの方(私もそうですが)では、これらの言葉は聞き捨てならず、利益が減る!給料が減る!とハラハラしながら過ごしている方もいらっしゃることと思います。また外貨建て預金をされている方も、やはり眠れぬ日々を過ごしていらっしゃるかもしれません。

日本の景気が悪いと円安になる、日本の国力が弱まると円安になる、米国の力が強いと米ドルは強くなる、ギリシャやイタリアが財政危機だからユーロが安い、と色々な情報が飛び交っています。しかし、この本を読むことで基本的な為替相場の知識を身につけることができて、よく耳にする話も実は全く逆であったり、間違っていることがわかります。少なくとも私の場合は、日々見聞きするニュースを元に理解していたことが全く逆だった-例えば、為替レートは国力とは関係ない、世界の景気が上向くとドル安、円安となる-というような話を知ることができて、とても有益でした。特に今後の為替レート(米ドル/円)については皆が注目していて、仕事上からも見通しについて同僚と意見を交わされる方も多いと思いますが、取締役クラスの方でも上記の事項を誤解している人がいますので、きちんとした知識をどこかで得ておくのは悪くないかと。

・日本は世界最大の純債権国であり、非常に大きな為替リスクを負っている。
→リスクヘッジのため、先物保有の外貨を売却して円を購入
・日本は、短期、長期金利が主要国で最も安い。
・日本は金融資本市場が非常に大きく、投資家、事業法人の資金が豊富。
・日本は世界第二位の経常黒字国であり、変動相場制を採用して資本規制がない国としては日本は世界第一位となる。

上記のような事情で、世界の景気が悪くなったときには円が買われ、円高になるとのメカニズムらしいです。米ドルやユーロが弱くなった際に投資マネーの行き先が無くて仕方なく円が買われた、というのは考え難く、投資家が海外投資先からお金を引き上げて円を買い戻しただろうとのこと。(ただし為替リスクのヘッジなので外国債券を売却するわけでなく、外貨売り、自国通貨買いのみとなる場合ありとのこと)

ところで、以前、外貨建ての預金や外国の国債や株に投資するのを勧める向きがありました。1990年の過去21年間で、円は最強通貨だったので、銀行預金やタンス預金で円を抱えていた人が結果的にうまい投資をしたことになると指摘しています。外国への投資を積極的に勧めて、リスクを取らなければリターンは得られないと言っていた人たちは結果として間違っていて、最もコンサバに円を銀行預金していた人たちが正しかった、というは正しかったわけです。(だから今後も円の銀行預金がベストということにはもちろんなりません、念のため)

以上
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