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マイケル・ルイス『世紀の空売り』-世界経済の破綻に賭けた男たち、文春文庫(2013) [社会科学]

2007年に起きたリーマンショック(世界同時の株価暴落)にまつわる実話で、リーマンショックで儲けを出した男たちの物語です。切り口がちょっと変わっているのと、以前に読んだこの著者の本が面白かったので購入しました。また本の解説を書いているのが、話のわかりやすさでは定評がある(と私は思う)藤沢数希さんでしたので、きっと面白いに違いないと踏んだのです。

サブプライム・モーゲージ債のしくみとその崩壊については今までにたくさん解説されていますし、私も当時NHKの特集番組を見た記憶があります。金融工学を駆使(?)したあぶなっかしい金融商品だと解説されていたように思いますが、その仕組みを利用して大もうけした人たちがいたという話は、ほとんど取り上げられなかったように思います。本書の主題はまさにこの部分で、慧眼(目利き)を持つ人たちの話でもあります。原文の「マネー・ショート」という題名そのもので映画化されています(まだ観ていませんが)

サブプライム・モーゲージ債が崩壊すると予想するのは、もしかしたらさほど難しくなかったのかもしれません。ウォール街の熱狂から少し距離を置いて冷静になることができれば。でもサブプライム・モーゲージ債の崩壊を儲けにつなげる道筋を付けたのは、本当にすごい。株を買って株価が上がれば儲かるといった単純なしくみではなく、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という一種の保険のような金融工学商品を使うのですが、サブプライム・モーゲージ債を対象としたCDSというのは存在しなかった。証券会社を説得して商品を作り出したというのもすごい。

サブプライム・モーゲージ債が崩壊したときに儲ける方法を考案し、そのしくみを現実化させたのはマイケル・バーリという株式投資家かつ医師です。私はこの人物に強く心を惹かれました。この一風変わった、アスペルガー症候群を患った人物たった1人の慧眼に、ウォール街の関係者全員が及ばなかったというのは実に驚くべき状況です。非常に痛快な話です。もっともバーリ氏はファンドを立ち上げ投資には成功しますが、人付き合いに難があったせいかあまり報われなかったようですが。

人に認められたい、好かれたいという方には全く興味が無いと思いますが、物事の基礎事実の把握、物事の根幹の理解や独創について興味がある人には面白いと思います。このような資質が対人関係とバーターになっているということも併せてですが。




世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

  • 作者: マイケル・ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫



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